リアルボイス

2021.12.14

なぜ崩壊寸前のクリニックから全国1位になれたのか?湘南美容クリニック町田院院長に学ぶ最高のチームの作り方

#ドキュメンタリー

PROFILE

名倉 俊輔(なぐら しゅんすけ)。湘南美容クリニック 町田院 院長。2011年4月入社。趣味はウィンドサーフィン。

SBC AWARD2015 年間優秀クリニック1位町田院

年に一度、1000名以上のスタッフが一同に集まり、お互いの功績を讃え合うSBC AWARD。

全国で49院あるクリニックの中で、町田院をCS(顧客満足)、ES(従業員満足)、業績の三部門の総合評価トップに導いたのは、若干31歳、入社5年目の名倉俊輔医師である。

医師を目指したきっかけは、父親からの一言

子供の頃から熱中しだすととことん追求してみたくなり、昆虫集めにはまったり、壊れた機械を分解して構造をみるのが好きだった。
「きっと見えないものを見たくなるんでしょうね」と、名倉は笑顔で語る。

高校生になった名倉に、父親は「お前はこの先何をやるんだ?」と問いかけた。
将来やりたいことが決まっていなかった名倉は漠然と大学進学しようと思っていることを伝えた。

父親は、「大学に行ってどうするんだ?」と問いを投げかけた。

これまで一度も「ああした方が良い」や「これはするな」と人生の指図をしてきたことはなく、全て自分のやりたいことをやらせてくれていた父親からの進路に対する問いに名倉は驚いた。

しかし、中学を卒業した後、高校へ行かずに若いうちから働き、飲食店やトラック運転手や不動産売買など社会の中で学んできた父親にしてみれば「大学で何を学ぶのか?」という問いはむしろストレートな質問だった。

「将来何をしたいか・・・」真剣に考えた中で、一生できる仕事で、カッコいい仕事が良いなと思うようになった。色んな本を読む中で医師の仕事に憧れをもつようになり、高校生2年生の時に医学部へ行くことを決意した。

湘南美容クリニック 町田院 院長 名倉俊輔医師の写真

学生時代の名倉。

若手にチャンスが巡ってこない年功序列社会

医学部に進学し、充実の日々を過ごし、医師の道へ進んだことは正解だったと感じていた。しかし、形成外科で前期研修を過ごす中で違和感を感じ始める。年功序列社会の中では若手にはなかなかチャンスが巡ってこないのである。

10年目の先輩を見ても「こういう人みたいになりたい」となかなか思えなかった。
「自分はもっとできるのに・・・」という気持ちを抑えきれず、実力次第で未来を切り開ける環境を求め始めていた。

そこで形成外科と並んで興味をもっていた美容外科の世界と出会うことになる。美容の世界であれば、結果は一目瞭然。医師が若くても、ベテランでも、ごまかしのきかない世界である。

複数の美容外科をのぞいた上で、当時最大手の美容外科クリニックと湘南美容クリニックの2択に絞り込んだ。

迷ったあげく、やはり大手の方がたくさんの経験を積めるだろうと考え、湘南美容グループ代表相川佳之に辞退のメールを送った。

相川からはすぐに返信があった。

「君が行きたいと思うところへ行くべきだし、考えは尊重する。でも、せっかくだから会って話そう」と書かれていた。日本大学医学部の先輩である相川の誘いを無下にするわけには行かず、会うことにした。

相川は湘南美容クリニックをどうしていきたいのかという夢を語り、最後に「君がうちに来るにはどうしたら良い?」と尋ねた。

名倉は相川の情熱に感動し、湘南美容クリニックの門を叩いた。

入社から半年で分院長を任されるという異例のスピード昇格

美容外科のドクターとしてのスタートは横浜院だった。
先輩ドクターから技術や知識を吸収するのもつかの間、入社半年ちょっとで川崎院を任される。異例のスピード昇格だった。

「自分の能力が認められた。いよいよ、自分が思い切りやれる!」と思ったが、川崎院で待っていた現実は全く違うものだった。お客様が全然来ないのだ。

手術を覚えたい。そのためには少しでも多くの手術を経験したい。しかし、お客さまが来ない・・・。経験を積みたくてモヤモヤしていた。

焦って色々とやろうとするが、全く思い通りにいかない。「このままでは周囲に置いて行かれる」という焦りの気持ちがあればあるほどに空回りしていった。

「なぜ、ドクターは処置や手術だけではなく、集客も院の運営も自分ひとりで何でもやらなければいけないのか?」と思うようになり、どんどん自分を追い詰めて苦しくなっていく。「ひょっとして、美容外科の世界にいきなり飛び込んできたのは間違いだったのかもしれない」と悩み、院長室に閉じこもってしまう時もあった。

川崎院を一つにまとめて、成果を出せないことそのものもさることながら、その現実を周囲のせいにして、何かをやろうとしても「どうせ難しい」と感じてしまっている自分の弱さが悔しかった。

湘南美容クリニック 町田院 院長 名倉俊輔医師の写真

川崎院時代、竹田先生との一枚。

新天地を求め、湘南美容クリニック 町田院へ

「このままじゃいけない」、「このまま終わりたくない、ともがいていた時に転機が訪れる。湘南美容クリニック町田院の分院長にならないか?という推薦の声だった。この現状を変えたいと思って手をあげた。

当時の町田院は前任の院長が退職したタイミングで、組織は決して良い状態と言える状態ではなかった。ましてや、川崎院で大した成果も出せなかった自分が行って何とかなるのか・・という不安は当然あった。しかし、何かを変えたいという衝動を抑えることができず名倉は町田に新天地を求めた。

しかし、現実は甘くない。町田院に行っても前と状況は変わらなかった。働いているスタッフのほぼ全員が自分よりも湘南美容クリニックでのキャリアが長く、「今までこうしていました」という言葉に対して、内心「本当はこうした方が良いのでは?」と思っても、「ココ(町田院)ではこういうものなんだ・・・」と納得して、行動を起こすことはなかった。

「未来を良くしていきたい」という前向きな人たちが働きやすい職場を作る

ギスギスとした町田院の空気に嫌気がさしたスタッフが、次々に辞めていった。

スタッフの採用面接をしながら(当時はクリニックごとに採用をしており、ドクターも面接を行っていることが多かった)、自分がどんなクリニックを作りたいのかを語っていった。求職者の中には「町田院で名倉先生の力になりたいです」と言ってくれる人もいた。

純粋に嬉しかった。「何でも自分一人でやらなければいけない」と思っていたが、「周りの人たちは力になりたいと思ってくれているのかもしれない。もしかすると、力を借りることを避けていたのは自分の方かもしれない」と思うようになった。

そして、「この人たちがもっと幸せを感じて働ける環境にしないといけない」。そう誓った。

そのためには職場を改革していく必要がある。しかし、新しいことに挑戦しようとすると「今までのやり方でやりましょう」と新しいことに挑戦することを避ける声があがる。

しかし、みんなの意見を聞いている余裕はない。みんなにとって良い環境ではなく、「未来を良くしていきたい」という前向きな人たちにとって働きやすい職場を作らなければいかないのだ。

これまで思い通りにならないことが続き、いつの間にか、自分を支配していた事なかれ主義をやめた。そして、次々に改革案を押し出していった。

湘南美容クリニック 町田院 院長 名倉俊輔医師の写真

新しい機械を導入するという話をした時に、あるスタッフから「私は反対です。それでも導入すると言うなら、全部自分で売ってくださいね」と言われたことがあった。

怒りが込み上げ、喉元まで叱りつける言葉が出てきそうになった。しかし、ここで怒ったところでしょうがない。結果さえ出せば理解してもらえると、その言葉を飲み込んだ。

そんな時に小林(写真中央)という一人の看護師が「私は賛成です。せっかくだしみんなで新しいことをやりましょう!」と声をあげた。役職者でもなく、普段から発言が多いタイプではない小林の言葉で場の空気が変わった。

医師という立場で言う言葉はどうしてもトップダウンで強制するようなニュアンスになりやすい。反対意見をもっている個人だと対等に意見を言い難く、反対派という集団に発展しやすい。時には輪の中に入って、同じ目線に立ち「一緒にやりましょう!」という言葉の方が素直に聞けることがあるのである。

湘南美容クリニック 町田院 院長 名倉俊輔医師の写真

小林の言葉によって、名倉はある考えに至る。

一人ひとりの強みは違う。小林のように「新しいことに挑戦しよう!」という空気を作るのが上手な人もいる。無駄を見つけ、徹底的に効率を高める改善を考えるのが得意な人もいる。業績など数字には弱いが目の前のお客さまには最高のサービスを提供することに長けている人もいる。最高のチームとは一人ひとりが持つその強みを活かせているチームなんだと。

そのために自分がやるべきことは、強みを見つけてあげて、その強みを伸ばしてあげる機会を作ることなのだと。

ありのままの自分が持つ強みを磨き、伸びた強みでチームの成果を追求する

まずはかつて自分がそうであったように「こうすべき」というしがらみを捨てて、肩の力を抜き、ありのままの自分でいようとする。そのためには当然、組織にありのままの自分でいられる安心感を作る必要がある。

ありのままの自分を受け入れることができれば、ありのままの自分が持つ強みを磨いていくことができるのである。

「自分は自分にしかできないことをやる。自分がやるべきことであればやりたいことでもやりたくないことでもやる」そう語る名倉は人一倍、自分の強みを伸ばすことにこだわっている。そして、日々スタッフ一人ひとりと向き合い、強みを見つけ、強みを活かせられるように、環境を作り、伸びた強みでチームの成果を追求する。

2015年に全国1位に輝いた町田院はまだまだとどまることを知らない。

湘南美容クリニック 町田院 院長 名倉俊輔医師の写真

編集後記「全国1位に輝いた町田院のチームワークの秘密」

取材中、何度も「スタッフに愛のある対応をしたい」と話してくださった名倉先生。

「僕は湘南美容クリニックという職場に入社したことで、技術面だけでなく、人間的にもとても成長出来たと思っています。一緒に働いて人生を共有していくみんなにも、良い経験を積んで良い仕事をしてもらいたいんです。『湘南美容クリニックで働いたことで自分がより磨かれた』そう思ってもらえるような環境にしていくことが僕の役割だと思っています」

そう話す名倉先生は、働いている時間以外でも、スタッフと積極的にコミュニケーションを取る機会を設けているそうです。取材させいていただいたこの日も、「営業終了後にみんなでバンジージャンプをしに茨城へ旅行に行くんです」と笑顔で教えて下さいました。

湘南美容クリニック 町田院 院長 名倉俊輔医師の写真

こちらがバンジージャンプ旅行の写真。みなさん素敵な笑顔です。

ありのままの自分が持つ強みをそれぞれが磨き、伸びた強みでチームの成果を追求する。全国1位に輝いた町田院のチームワークの秘密は、日々の愛あるコミュニケーションと、それ故に築かれる信頼関係があるからこそなんだと感じることが出来た町田院取材でした。

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