安定したメガバンクのキャリアを離れ、第二創業期のSBCへ飛び込まれた福井さん。銀行時代に培った深いIRの知見を武器に、グローバルカンパニー化を見据えたSBCのIRを牽引されています。ワンチームで世界を目指すSBCの未来へ想いをお話しいただきました。
金融機関で培ったさまざまなキャリアとIRへの深い知見
福井さんは三菱UFJ銀行から2024年にSBCメディカルグループ(以下、SBC)にご入社されました。まずは前職のお話からお伺いしたいです。就職先に銀行を選ばれた理由と、銀行での具体的な業務内容についてお聞かせください。
大学では経済学部に在籍していました。自身では「数字に対する強さ」がアドバンテージだと認識していたため、就職活動においても、その強みを活かせる業界や職種を選びたいと考えていました。学生時代は社会やビジネスの全体像が見えにくい部分もあり、業務が多岐にわたって色んな可能性があること、そして入社後も多様な経験を積める環境を重視し、海外での仕事への興味もあって、三菱UFJ銀行に入行しました。
銀行では本当に様々な部署を経験させていただきました。最初の配属は都内の支店で、住宅ローンや投資信託、窓口業務など、銀行業務の基礎を習得。その後、中小企業向けの法人営業を担当しました。2カ店目への異動を検討する際、投資銀行部門や市場系の部署で専門性を深めたいという希望を出したところ、グループの証券会社への出向という形で実現しました。
さらにそのときの上司が引っ張り上げてくれて、3カ店目ではロンドンの証券会社へ出向することに。700名規模の現地法人で、経営企画や市場リスク管理を担当しました。当時はリーマンショックの最中でマーケットも不安定な時期。でも逆に証券ビジネスのダイナミズムが面白く、4年間はあっという間に過ぎました。帰国後はIR(インベスター・リレーションズ)室に配属され、銀行単体のみならず、MUFGグループ全体の証券、信託銀行、消費者金融、カード会社など、あらゆる業態をカバーするIR業務に6年間携わりました。
その後は人事部へ異動。人の人生に影響を与えるという重責から、非常に苦しい時間も経験しました。人事部の後は経営企画部で、銀行全体のDX推進や、行員の働き方・企業文化のアップデートなどを担当し、さらに次の部署・GCIB企画部(海外の大企業のお客様に、付加価値の高いソリューションを提供する部門)で財務戦略に携わりました。それが自分にとっての銀行での最後の仕事となりました。
銀行員時代に、これほど幅広い部署でご経験を積まれたとは。特に印象深かったお仕事を挙げるとすれば何になりますか。
IRですね。私にとって非常にエキサイティングで面白いポジションでした。IRは、会社を代表して外部のステークホルダーとコミュニケーションをとる役割。社長やCFO(最高財務責任者) といったMUFGのトップマネジメント層と密接に連携し、対外的なメッセージ戦略を構築しました。この経験を通じて経営目線が身につき、その後の部署に異動しても、広く視野を持ち、進むべき方向性を考えられるようになりました。私にとって大きな財産になったと確信しています。
当時収集した名刺は3,000枚にも達し、外部のアナリストや機関投資家とも強固なリレーションを構築できました。私がIRの部署から人事部へ異動する際、アナリストや投資家の皆さま約40名が送別会を開いてくれたことは、今でも大切な思い出です。

「手応えのある仕事」を求めて、未知の領域へ飛び込む
充実したキャリアを歩まれた銀行を離れ、2024年にSBCに入社されたのは、どのような考えからだったのでしょうか。
40代半ばになり、その先の銀行員としてのキャリアパスを深く考えるようになりました。そのときに改めて銀行は非常によく練られた完成度の高い組織だなと思いました。自分の色を出して、全く異なるフィールドで勝負できる機会があるとしたら、40代半ばの今がラストチャンスかもしれないと感じました。銀行で培ってきた多様な経験を、成長過程にある企業で発揮できれば、非常にエキサイティングなのではないか、と。突き詰めれば、「手触り感のある仕事がしたい」ということに尽きるかもしれません。
規模感も業種も全く異なるSBCを、転職先に選ばれた決定的な理由は何でしょうか。
まず、金融目線かもしれませんが、成長性とポテンシャルを秘めた業界への参画を第一に考えました。さらにその業界において優位なポジションを確保している企業であること。トップの経営理念・ビジョンに心から共感できるかどうか――。この3つの軸に合致したのがSBCでした。
美容医療市場には高い成長性を感じましたし、SBCが迎えている「第二創業期」というフェーズも私には魅力でした。成長企業であっても、今後の成長曲線が既存ビジネスの延長線の場合は、外部人材(中途採用者)が提供できる付加価値は限定的になりがちです。しかし、SBCはNasdaq上場を控えるタイミングであり、会社として未経験の領域へ成長拡大していくフェーズ。我々外部から来た人間が貢献できる領域が非常に多いのではないかと感じました。
さらにNasdaq上場を目の前にし、今後、資本市場との関係構築が求められる局面において、IR経験を持つ私であれば貢献できる余地も大きいのではと感じたし、挑戦しがいもあると感じました。
深く浸透する企業理念とスピード感が、SBCのエネルギー源
実際に入社されてみて、SBCの印象はいかがでしょうか。
色々と驚くこともあるだろうなと思っていましたが、最も驚いたのは企業理念が社員に深く浸透していると感じたことです。銀行時代、経営企画部で企業理念の浸透の難しさを痛感していたので、SBCでそれがしっかり実現できているのは素晴らしいことだと感じました。
企業理念やパーパスが社内に深く浸透していると、一つの矢となって組織のエネルギーにつながりやすいんです。ラグビーのスクラムに例えると、全員が同じ方向を向いて押すと爆発的なパワーが生まれますが、角度がずれていると、すぐに押し返されてしまいます。これと同様に、社員全員が共通の思いを持って物事を進めているのは、強い組織になるうえで極めて重要です。
また、SBCは意思決定のスピードが速いですね。そして、一つのプロジェクトに取り組んでいる人員が圧倒的に少ない。少数精鋭で回しているという感覚があります。困難を伴う部分も多い反面、新卒であれ中途入社であれ、自身でハンドリングすべき裁量が大きい。自己成長を目指す人にとっては、組織がフラットでCxOクラスと非常に近い距離で仕事ができ、一人ひとりが大きな役割を任されるという意味で、非常に魅力的な環境ではないかと思います。
少数精鋭で第二創業期を軌道に乗せていくにあたり、ときには意思決定の方向性が間違ってしまう恐れもあると思うのですが、その点についてはどうお考えですか。
失敗を完全に回避することは難しいと思います。大事なのは、「進んでいる方向性が異なる」と感じたときに、いかに速やかに軌道修正できるかどうか。アジャイルに進め、「この流れでいこう」なのか「ここは修正すべき」なのか、その都度適切に対処していくことが大事だと思います。幸いなことに、今のSBCには多様な業界から集まった、高い経験値を持つ経営陣が多くいます。様々なバックグラウンドを持つ高度な人材が知恵や経験を持ち寄って経営を実践できていることが、今のSBCにとって非常に大きな強みになっていると認識しています。
福井さんのようなキャリア豊富な経営幹部の直下で、社会人経験のない新入社員やインターンが働くケースは、普通の企業ではなかなか得られない貴重な機会だと思います。
確かにそうかもしれませんね。新入社員の立場からすれば、私が求めるレベルは非常に高い要求だと自覚していますが、部下はしっかり食らいついてきてくれています。そばで見ていて、着実に成長しているのを感じます。教育するにあたっては、私が考えていることを率直に話すように心がけているんです。自身が悩んでいる部分も包み隠さず伝えることで、一緒に考えるきっかけにもなると思っています。そういった経験が、ビジネスマンとしてのレベルアップに直結すると思っています。

SBCのIR態勢構築に尽力し、Nasdaq上場を牽引
福井さんは2024年1月にSBCに入社されましたが、その年の9月にはSBCがNasdaq上場というスピード感でした。きっとお忙しかったのではないかと思います。
ええ。IRに焦点を絞った話をしますと、Nasdaqへの上場は私にとっても未知の経験でした。アメリカのアナリストや機関投資家を開拓する必要があるものの、当初はコンタクト先すら全く分からないというゼロからのスタートで。私自身IRの経験はありましたが、業種も規模感も全く異なるSBCでは、アプローチすべき投資家層も大きく変わってしまいます。そこで、色んなところに顔を出して、IRの支援会社や投資銀行等の専門家を紹介してもらうなど、試行錯誤を重ねながら徐々にコネクションを広げていきました。銀行時代の経験から、IRの完成形のイメージは頭の中に明確に描けていたので、どうすればそのゴールに辿り着けるかを逆算し、一つひとつ着実に対応を進めていきました。
肝となる部分は自分自身でハンズオンで進め、ある程度スキームが確立してきたら、メンバーに委譲するようにしてプロジェクトを推進しています。若手メンバーからすると非常にチャレンジングな経験だと思いますが、ダイナミズムを感じながら業務に向き合えているのではないかと思っています。
福井さんご自身の、仕事をする上でのモットーは何でしょう。
私は旅行が好きだったりと、好奇心が旺盛なんです。未経験な場所に顔を出して、新しい発見をすることがとても楽しい。SBCへの転職も、そんな冒険心がベースにあると思っています。新しい挑戦に積極的に関わっていきたいですし、とにかくワクワクしていたい。仕事を楽しみたいですし、仕事に対して常に誠実でありたいとも考えています。今の私の仕事のモチベーションは、自分の思い描いた構想を現実にすることにあります。IRについても、まだ道半ばですので、早く完成形に近づけていきたいですね。
ワンチームで世界に羽ばたこう。私たちとともに変革を起こす人財へ
SBCの今後について、福井さんはどのようなビジョンをお持ちでしょうか。
これまでSBCで長い経験と実績を積んできた社員と、外部から入ってきた新しい視点や経験を持った人がミックスし、相乗効果でより良いものを創造していく。そこに成長の鍵があると思っています。全員がワンチームとして、より大きな目標に向かい、一人ひとりがそれぞれの持ち味を発揮しながら業務に取り組めれば、必ず良い結果につながるはずです。
私自身、SBCを真のグローバルカンパニーにしたいというビジョンを持っていますし、そのために解決すべき課題が山積みですので、それを一つひとつクリアしていきたいですね。SBCは創業当初から、「日本で一番お客様の多い美容医療グループになる」という大きな目標を掲げており、それを実現した実績があります。 絵空事のように見える目標でも、それを確実に実現してきたSBCだからこそ、「2050年までに世界一の医療グループになる」という大きな目標も達成できるのではないかと確信しています。
福井さんは、今後どのようなメンバーにSBCにジョインしてほしいとお考えですか。
とにかく明るくバイタリティがある人、貪欲に自身の目標に向かって邁進できる人、そしてチームワークを大切にする人の3点ですね。SBCは、一定の規模を持つ大企業でありながらベンチャー気質も併せ持つ、稀有な企業だと思います。チャレンジングな環境ではありますが、若いうちから多様な経験ができることは間違いありません。そこに喜びを感じられる人には、非常に適した職場のはずです。
今の世の中は、情報が氾濫しています。AIもその情報源の一つではありますが、それを表面的に捉えるのではなく、自分の中でしっかりと解釈し、自分の知見として吸収し、自分の考えを確立していくことが非常に重要だと考えます。正直なところ、このような変化の激しい時代ですから、5年後、10年後にどうなっているかは誰にも予測できません。しかし、確かなのは、どういう世の中になったとしても生き残れるような実力を身に付けていくことが大事ということです。それは、思考力や構想力、行動力を高めることに他なりません。このスキルこそ、いかなる世界でも生き抜くための絶対的な武器となります。自分自身の市場価値を高めながら、SBCの目標を一緒に実現していこう!という熱い思いを持った人には是非、SBCの門を叩いて欲しいなと思います。

IR態勢構築を通じたグローバル化への挑戦を伺い、SBCの目指す未来が鮮明に伝わってまいりました。今後、新たな人材が加わり、さらに組織が盛り上がっていくと良いですね。本日はありがとうございました。